ラグビーを通したコミュニティづくり(コラム50-1)
血縁、地縁、職縁。大切なのはどれか。
25年前に通っていたコピーライター養成講座でのこと。
「皆さんが大切にすべきは、今共に学んでいる同期ですよ」と話してくれた講師がいた。学んでいたのは、コピーライターや広告業界を目指す若者たちだ。
「人の縁には色々あります。まずは『血縁』、そして『地縁』ですね。でも、この2つはこれからどんどん薄まっていきます。これから大事なのは『職縁』です」
当時は社会人1年目。そういうものか、さすがコピーライターは物知りだなあなどと考えた。なんだか結婚式のスピーチみたいだなとも感じた。
しかし、25年が経ってみると、この提言の半分は見当ハズレで、もう半分は大ハズレなのではないかと思う。
一つ目のハズレは、コピーライターにはなったが、その後辞めていった人が多かったという点だ。私も3年で辞めた。しばらくはその後も交流はあったが、教員やラグビーなど異なる業界へ進むうちに、すっかり疎遠になってしまった。(唯一、Y君とだけは時々連絡を取る。彼ともこの養成講座で出会った)。つまり「職縁」を大切にしようと思っても、業界を離れたら「縁」は切れるのだ。
もう半分のハズレは、25年前の東京では「地縁」は消滅の瀬戸際にあったかもしれないが、今はそうではない、ということだ。そのことを実感する出来事が週末にあった。
親を楽しませれば、子どもは集まる。
2年前から、親子タグラグビー教室を開催している。土曜日の午後に月2回。対象は5歳から大人まで。第1回目のレッスンは親子2組だったが、今や10組26名の人気教室となった。
「やるなら親子がいいよ」とアドバイスをくれたのは、教室を主催するNPO法人の理事長だ。
私はあまり乗り気ではなかった。小中学生向けの「本格的な」ラグビーアカデミーを目指していたからだ。立派なグランドは確保した(東京ガス大森グランド)。やる気に溢れるコーチもいる(私)。しかし、選手が集まらなかった(最初のレッスンは、小学生1人だけ!)。
理事長に相談したところ「親も楽しませれば集まる」と教えられた。
その言葉通り、人はどんどん集まった。子どもは未就学児がほとんど。大人の方は、父親のみの参加が約半分、もう半分は両親ともに参加してくれた。子どもたちは大好きなパパ、ママと芝生で遊べるのだから、いつも大喜びだ。親も我が子との運動を楽しみ、子どもたちの成長を他の会員と一緒に喜んだ。
以前は練習を嫌がって逃亡したり、試合に負けて泣き続ける子もたくさんいたが、一昨日の練習では、全員最初から最後までグランドにいた。1人泣いてしまった子はいたが。
練習後は、近所の居酒屋に再集合。1ヶ月遅れの新年会。子どもたちも参加なので、とても賑やか。こうした会は他の教室では頻繁に開催しているが、親子教室では初めてだった。小さい子が多いので遠慮していた面があるし、私は土曜の夜には別のレッスンが入っているので、都合をつけるのが難しかった。
実はこの日も夜のレッスンがあったのだが、それは別のコーチに無理を言ってお願いすることにした。通常はそういうことはしないのだが、この日は特別な事情があったからだ。