ビッグデータから関節角度まで (6年目終了のご挨拶) その1

 2021425日に開催されたトップリーグプレイオフ2回戦、トヨタベルヴェルブリッツ戦。日野レッドドルフィンズは2949で敗退し、2021年シーズンが終了しました。

 私にとっては、日野での4年目、アナリストとしては6年目のシーズンが終わったことになります。

 振り返ると、変化の多いシーズンでした。コロナ禍での活動制限という環境の変化に加え、箕内拓郎ヘッドコーチの新任1年目であり、NECより宮尾正彦氏がヘッドアナリストとして加入された年でした。

 アナリスト複数体制は私にとって初めての経験。前所属の東芝、日野ともに、私がチーム初に専任アナリストだったため、良くも悪くも我流で進めてきた面があります。

 宮尾氏はラグビーアナリストの国内第一人者。日々学べるということに加え、常にアナリスト同士で相談しながら進められることの有り難さを感じる1年でした。

 コロナ禍ならではの学びもありました。アナリスト同士の勉強会です。ニュージーランドではシーズンが終わる度に、アナリストが一堂に会し、情報交換をしていると聞いていました。チームの垣根を超えて、互いの取り組みをプレゼンテーションすることは、双方にとって大きな学びであり、また技術的な情報交換により、業務の改善につながります。

 練習自粛、自宅待機という環境を逆手に取り、やるなら今しかないと提案したところ、サントリーサンゴリアスの須藤惇アナリストの主導のもと、10回以上のミーティングを重ねることができました。

 勉強会のテーマの一つとなったのが、BIツールの活用です。トップリーグでは、2015年よりOPTAというデータ配信会社のサービスを導入しており、ビッグデータを扱える環境が整っています。自チームの詳細なデータを、ライバルチーム、あるいは海外チームと比較したり、リーグ全体の傾向を把握することが可能です。ただし、データ量が多く、作業に時間が取られることが問題でした。

 BIツールであれば、大量のデータを瞬時に可視化してくれます。例えば、日野が、反則をグランドのどのエリアで犯しているのか。前年と比較して、そのエリアに変化はあるのか。海外のトップチームと比較するとどうなのか。一旦プログラムを組めば、こうした情報を瞬時に、スクリーン上に示すことが可能となります。

 待機中に学んだこうした新しい技術は、シーズンでもある程度活用することができました。

 新任の箕内ヘッドコーチは、代表キャプテンを務めたレジェンドであり、加えてデータの扱いに長けたリーダーです。情報の取捨選択、見せ方が非常に上手い。(彼の作るキーノートは非常に美しい)

 とはいえ、過度に情報が増えてしまえば、適切な選択は困難になります。さらに増えていくだろうデータを、新しいツールを取り入れながらチームに分かりやすく提供していくことは、今後も不可欠だと感じています。

(その2へ)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加