(コラム46-1)リーグワンのレベルは上がっているのか

24年12月21日に開幕したジャパンラグビー・リーグワン2024-25は、初めてのバイウィークを迎えた。年末年始を挟んでの5連戦。チーム関係者、リーグ関係者は、年末年始に不足した家族との時間を過ごすか、疲労回復に努めただろう。

先日、あるチームのヘッドアナリストに電話をした。分析セミナーの依頼のためだったが、「今季は今までになく疲れる」という理由で断られてしまった。その一方で、私の周りの若いラグビーファンたちは「今季はむちゃくちゃ面白い」と話している。「むちゃくちゃ面白い」試合は、関係者たちのハードワークから生み出されているのだ。

ただし、選手たちの疲労に関しては、個人差がある。試合に出続ける選手は当然疲労が溜まる。一方で試合に出られない選手たちは、疲労よりも不満が溜まりがちだ。出場メンバーは通常、その週の最初に発表され、練習はメンバー中心で計画される。メンバー外の選手たちも練習には参加するが、モチベーションを保つのは簡単ではない。コーチたちもそこは分かっているので、公式戦の翌日に同じ相手とBチームの練習試合を組むなどする。怪我から復帰した選手や、Aチームの控えの選手で試合時間が短い選手も出場する。(つまりスタッフは、週末に2連戦を行うことになる。分析スタッフにとっては、かなりの重労働だ)

多くのチームが、第4節あたりで先発メンバーを変えていた。これまでベンチスタートだった選手を先発にして、不動の先発だった選手をベンチに置く。これも疲労のコントロールの一環。先発メンバーになると、練習でも激しく動く時間が増える。一方で控えのメンバーは、練習での負担が減る。主力を控えにすることは、休息を与えてコンディションを高める狙いがある。

今季は接戦が増えているように感じる。アップセットも増えているのではないか。公式記録を拾って検証してみた。

◆2024-25第1節 カッコ内は前年度の順位

三重(11) 23-21 BR東京(10) 点差2

静岡BR (8)15-13 神戸S(5) 点差2

東京SG(3) 12-33 埼玉WK(2)  点差21

S東京ベイ(6) 30-27 トヨタV(7)  点差3

相模原DB(9) 31-19 浦安DR(昇格)  点差12

横浜E(4) 21-28 BL東京(1) 点差7

*点差平均7.8 / 7点差以内の試合数4 / アップセット数(前年度の順位下位チームによる勝利数)2

これを1年前の開幕カードと比べてみる。

◆2023-24第1節 カッコ内は前年度の順位

神戸S(9) 80-15 三重H(昇格) 点差65

相模原DB(10) 30-29 近鉄L(12)  点差1

BL東京(5) 43-30 静岡BR(8) 点差13

トヨタV(6) 15-8 BR東京(7)  点差7

S東京ベイ(1) 26-52 サントリー(4)  点差26

埼玉WK (2)53-12 横浜E(3)  点差41

*点差平均25.5 / 7点差以内の試合数2 / アップセット数(前年度の順位下位チームによる勝利数)0

予想通り、点差は劇的に縮まり、アップセットが増えていた。ただし、この傾向は、5節までで終わるのではないかと私は考えている。

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