(コラム46-2)リーグワンのレベルは上がっているのか

今季のリーグワンは、どの試合を見ても面白い。結果を知っていても楽しめるほど、見応えがある。世界トップレベルの選手が集まっており、各試合で高いスキルを披露してくれる。昨季と今季の第1節を比較したところ、今季は点差の平均が1/4にまで縮まり、接戦やアップセットが増えていた。

では、開幕戦以降の状況はどうなっているのか。今度は、今季の第1節と第5節を比べてみた。

◆2024-25第1節

※点差平均7.8 / 7点差以内の試合数4 / アップセット数(前年度の順位下位チームによる勝利数)2

◆2024-25第5節

S東京ベイ(6) 26-18 BR東京(10)  点差8

静岡BR (8)34-28 BL東京(1) 点差6

横浜E(4) 47-21相模原DB(9) 点差 26

神戸S(5) 50-22 浦安DR(昇格)  点差28

三重(11) 19-27 東京SG(3) 点差8

トヨタV(7) 22-38 埼玉WK(2)  点差16

※点差平均15.3 / 7点差以内の試合数1 / アップセット数1

平均得点差は開幕戦の倍に増えていた。アップセットは、静岡BRとBL東京の1試合のみ。負けチームにも勝ち点がつく7点差以内の試合も減少した。

選手の疲労、それをカバーする選手層の差が要因だと考えられる。5連戦となれば選手を入れ替えて、疲労をコントロールする必要がある。しかし、選手層が薄いと大きな戦力ダウンになる。逆にレギュラーと同レベル選手がいるチームは、試合を重ねるほどに有利となる。

顕著だったのは、第5節のS東京ベイ対B R東京の一戦。前半はBR東京が奮闘し、11対15のリードで折り返す。しかし、S東京ベイは後半11分、日本代表SH藤原を含むリザーブ6人を一気に投入すると、すぐに逆転してそのまま逃げ切った。

BR東京は、怪我のためかこれまで10番を務めていた中楠一期が欠場。代理を、本来は9番のTJペレナラが務めた。本職でないポジションでも安定したパフォーマンスを見せていたが、味方にエラーが続き、結局8点差で敗れた。

以下は、数字に基づかない、私の感想。

・昨季優勝のBL東京は、第5節で大黒柱リッチー・モウンガが復帰するが、静岡BRに敗れた。リッチーはボールをもぎ取られるターンオーバーを2回許すなど、不調だった。彼が同じミスを繰り返すところを初めて見た。次節で復調するのか。

・唯一の全勝は埼玉WKのみとなった。こちらはSOに山沢京平、SHに萩原周、高城佑太など新しいメンバーが出場しても、安定した戦いぶり。誰が出てもレベルの高いパフォーマンスを発揮している。昨季もこの強みを発揮し、リーグ戦全勝だったが、今季も突っ走りそう。

・東京SGが今だ1勝のみ。勝利を挙げた三重戦も辛勝。三重の攻撃が10フェイズ以上続くシーンが何度もあった。東京SG側はディフェンスの2人目の寄りが遅く、コンテストできず、防戦が続く。これがアグレッシブアタッキングラグビー不発の要因に見えるがどうだろうか。

・同じく1勝のトヨタは、マイケル・フーパーに続き、NZの若手バックロー、ブレア・ライアルの獲得を発表。キャプテンの姫野や、2024年世界最優秀選手賞のピーターステフ・デュトイの負傷を補うためと考えられるが、これでチームのバックローは12名。有望な日本人若手選手も多い。怪我人が復帰してきたら、若手は、今季から導入されたレンタル移籍制度を利用して、他のチームでプレイするのだろうか。(ぜひして欲しい)

いずれにしても今週末の第6戦が楽しみ。世界的な有名選手たちが毎週しのぎを削り、昨年よりは接戦が増えている。

リーグのレベルは確実に上がっていると言えるだろう。

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