ホームチームの勝率が良い、本当の理由。(4)

ホームチームの勝率が良い、本当の理由。(コラム48-4)

ホームで応援されないとどうなるか

今日は土曜日。午前中はデフラグビーの練習。昼と夜はタグラグビーの指導だ。

朝から妻は、難しい顔でPCを睨んでいる。妻はフリーランスのライター。普段は週末に仕事はしないが、今週末は例外だ。編集者が、急に原稿の締め切りを早めてきたらしい。

妻の執筆場所は、常に自宅(ホーム)だ。私は観衆の1人として、声援を送る(心の中で)。

もし私が声援でなく「なんで週末に仕事してるの?」などと言ったらどうなるか。妻は怒るだろうし、それ以上にがっかりするだろう。自分のホームなのに、応援してくれないのか、と。そして、仕事は捗らず、編集者を満足させるような原稿が書ける確率は下がるだろう。

「スポーツオタク」の書籍は、ホームかアウェイかは、選手のパフォーマンス自体には、ほぼ影響しないと明言し、影響を与えるのはレフリーの判定だ、と結論づけた。考えてみれば、当然のこととも言える。プロ選手たちは、いつも観衆の前で試合をしている。アウェイではブーイングに晒されるが、その度にゴールを外すような選手は、そもそもプロになれない。どんな状況でも一貫性のあるプレイができるからプロなのだ。

妻もプロのライターだから、どんな状況でも良い仕事をする。ただし、ホームからブーイングが続けば、パフォーマンスは落ちてしまう。

この場合、プロとは職業としてスポーツをしている、あるいは学生でも、その予備軍として活動している人を指している。彼らのパフォーマンスに観衆は影響を与えない。ただし、職業ではない場合、例えば、我が家の家庭生活、あるいはデフラグビーのような障がい者スポーツの場合は、話が違ってくる。

プロとアマチュアの違い

プロとアマチュアの違いは何か。その一つは観客数だろう。アマチュアの試合では、応援に来るのは、たいてい関係者である。家族や知り合いに囲まれて試合をする。デフラグビーでは、これまでほとんどの国際試合は海外が舞台だった。国内の大会も出場するが、それほど注目されることはなかった。家族や友人たちの前でプレイをするという経験はあまりない。

しかし、2026年のデフラグビーセブンズ日本大会ではそれが実現する。自分を育ててくれた両親や、職場の人たちの前で、人生を賭けて取り組んできたラグビーを披露できる。これを力に変えていきたい。

もう一つの違いはプレッシャーだろう。プロはパフォーマンスが落ちれば、収入減となり、職を失う可能性もある。アマチュアにはそれがない代わりに、活躍すれば、身近な人たちは喜んでくれる。

「身近な人」を増やすことも大切にしたい。大会をPRし、各地のイベントに出席し、聾学校を訪問する。そうして自分たちを応援してくれる人を増やす。

彼らが応援に来てくれれば、さらに大きな力をもらえるだろう。もし客席が満員になれば、スポーツオタクが実証してくれたように、審判だって味方になってくれるかもしれない。

ただし、審判が味方になるには、一つの条件があった。それは試合が接戦であること。そして、試合を見て、観客が興奮していることだ。

つまり、私たちは僅差の試合ができるだけの実力を持たなければいけない。そして、グランドの内外の活動を通して、人々が応援したくなるチームになる必要がある。そうすれば、自然と「地元の利」を得ることができるだろう。

さあ、練習へ行こう。(妻よ、仕事頑張れ)

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