強みはアンダー・ファティーグ。(HSBC SVNS 2025 パース大会1日目 ジャパン19-12ブラジル)

強みはアンダー・ファティーグ。コラム59

アンダー・ファティーグ。英文ならUnder Fatigue。Underは「〜の下に」の他に「〜中」という意味もある。「ジャパンのUnder Fatigueでのパフォーマンスは素晴らしい」。現地のアナウンサーは、そう称えた。疲労した中でも、良いプレイを見せていたということだ。

HSBCセブンズ パース大会1日目。第1試合で、前回優勝のアイルランドを破ったサクラセブンズの2試合目の相手は、ブラジル。ランキング6位の日本に対して、ブラジルは10位。しかし、序盤に躍動したのは、対戦相手のブラジルだ。背番号2のエース、エリカ・コスタが開始1分に、通算100トライとなる節目のトライで先制。3分には、日本のスピードランナー堤ほの花とのマッチアップを振り切って、101トライ目。これで0-12。

前半5分、日本は中央スクラムを得る。右外に攻めてラックを作った後、バックスラインのアングルチェンジから中央突破。三枝千晃の独走トライと思われたが、コスタが異次元のスピードで迫る。三枝はタックルを受けるが、その後ボールをつなぎ、堤がトライ。7-12でハーフタイム。

前半は個人の強さで優ったブラジルだが、後半は日本が「アンダー・ファティーグ」での強さを見せる。後半4分、自陣から突破を図るコスタから、ターンオーバーを奪う。4番梶木真凜がタップで即スタート。戻りきれないブラジルディフェンスの間をすり抜けてトライ。これで12-12の同点。

後半4分には、この大会がデビュー戦である庵奥里愛(あんのくりあ)が、スティールを成功させる。後半6分、今度は敵陣深くで再び相手から反則を奪うと、迷いなくクイックタップ。最後は14番岡元涼葉がステップを切って、トライゾーンへ。19-12と逆転。

ここからブラジルの長い攻撃が始まる。コスタが自陣から強引に102個目のトライを狙うが、サクラセブンズのディフェンスラインは崩れない。1分間攻め続けた結果、ブラジルの足が止まり、再度ジャパンがスティール成功。この試合を象徴するシーンで、ゲーム終了となった。

これでプール戦2連勝。いずれも逆転勝利。疲労した状態でも崩れないディフェンスが、彼女たちの強さを支えている。

桜たちの快進撃は、Under Way(進行中)だ。

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