アナリストセミナーは面白い!2 2025リーグワンアナリストによるオンラインセミナー

アナリストセミナーは面白い!2

コラム70-2

3月5日水曜日の夜に行われた、2025リーグワンアナリストによるオンラインセミナー。第1部が終了し、5分の休憩時間となったので、セミナー終了後のアンケートをどうするかについて、講師の荻田さんの希望を聞く。「コメントだけでなく、満足度の5段階評価も入れて欲しい」とのこと。その理由として、「アナリストをしていると、フィードバックが少ないから」とのこと。多くの仕事では、上司との面談や、仕事の成果そのものがフィードバックとなる。アナリストにもヘッドアナリストという上司はいるが、担当分野が違っていると直接的なフィードバックはない。また、試合結果はどこまで自分の仕事によるものなのかは測れない。だから、自分の仕事の良し悪しが分かりにくいのだ。

さて、第2部が始まった。話題は、荻田さんが最も力を入れている活動の1つ「モチベーションビデオ」について。試合の前日や直前に選手たちに見せる映像のことで、過去の試合のハイライトを編集して作ることが多い。荻田さんは、これを毎試合担当している。「試合前の選手たちに影響を与えられる最後の場」だから、力を入れて作っているという。

制作の手順について説明してくれた。映像を作り始めるのは、試合の2日前から。それまでは、試合のレビューや対戦相手の調査などで忙しい。最初にすることは、監督と話すこと。「ビデオで最も伝えたいことは何か」を聞き出す。次に曲選び。音楽が決まらないと映像を合わせられないから、である。

まず監督をヒアリングするというのは素晴らしいと思った。実は、この3日後に、日本ラグビーフットボール協会主催のアナリストカンファレンスで、今度は私が講師役となり、モチベーション映像について話したのだが、この時に私が強調したのも「まずクライアントの要望を聞くこと」であった。アナリストにとって、クライアントとはヘッドコーチのことだ。映像には目的があり、それがずれてしまうと何度もやり直しをすることになったり、効果のないものになってしまう。目的を外さないためには、出だしのヒアリングが大切なのだ。

曲の選定は、アナリスト誰もが悩む。特に選手と年齢に開きがあるベテランとなると、自分では決めずに、選手に尋ねる方が良いという人も多い。曲を最初に決めるか、後に決めるかは人それぞれ。私は後派だったが、話を聞いてみて、先に決めた方が時間短縮になりそうだと感じた。

ここで、大学アナリストからの質問。

「ハーフタイムはどのように過ごしていますか?どのような要望がコーチから出てきますか」

荻田さんの答え。「何か決まったものを出すことはないです。逆にどんなことを聞かれても良いように準備をしています」

私からも質問。「イーグルスはアナリスト2人体制ですね。どのように役割分担をしていますか」

「ヘッドアナリストがスタッツをライブでつけていて、私はコーチからの要望に応えています。また、インカムでレフリーの声を聞いていて、どんなことを言っているのかをコーチ陣に伝えます」

私から補足。「なるほど。レフリーは日本語を話すとは限らないですね。荻田さんは小学生の頃、インターナショナルスクールに通っていて英語力がある。だからコーチに伝える役をしているんですね。試合中の役割分担のところで、コーチと話す役をなぜヘッドアナリストがやらないのかなと疑問に思ったのだけど、その理由が分かりました。語学力があるからですね。荻田さんが即プロに採用された理由の一つかもしれない。ラグビーチームでは、英語が公用語のようになっているチームもありますね」

質問はまだまだ続く。

(第3部へ続く)

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