デフラグビーの紹介記事およびサイレントレフリーの実践について

ラグビーライターの吉田宏さんが、現在のデフラグビーの活動について取材してくれました。

【前編】「目覚めると皆が口パクで…」 襲った異変、聴こえぬ音…”もう一つのラグビー日本代表”の挑戦
https://the-ans.jp/column/593785/

【後編】壊された固定観念「なぜ審判は笛を?」 目指す世界一、日本で広めたい「耳が聴こえない人」のラグビー
https://the-ans.jp/column/593794/

後編には、「サイレントレフリー」(笛を使わないレフリング)の育成についても取り上げられていますが、これは10月12-13日に、東京ガス大森グランドで開催したデフラグビーセブンズにて、既に実施しております。

サイレントレフリーは、笛の代わりにカラフルな手袋をはめて、シグナルで反則の有無や種類を伝えます。声も出しません。サイドラインにはタッチジャッジ、インゴールにもインゴールジャッジがフラッグを持って立ちます。タッチジャッジ、インゴールジャッジは、レフリーが手を挙げたら、旗を上げて選手に伝えます。インゴールジャッジを置くのは、選手の視界に入りやすくするためです。また、レフリーは声も出さないので、シグナルを見て、各選手が判断する必要があります。

この大会での対戦相手は聞こえる選手たちでした。試合後のファンクションで感想を聞くと、次のような興味深いコメントがありました。

「普段よりは、『平和的』な試合だった。それは、激しくない、という意味ではない。お互いに協力しないと試合が成り立たないから、お互いに尊重し合うことができた」

ラグビーの魅力はその激しさにありますが、それがレフリーに向かうものだったり、ルールを破るようなものでは魅力は薄れてしまいます。サイレントレフリーによる試合は、両チームがレフリーを注視し、協力し合う必要があります。これは、ラグビーの魅力を高めてくれるのかもしれません。

また、笛の音やレフリーの声というのは、時に選手にとって「一方的な命令」に聞こえ、反発の気持ちが沸くことがありますね。サイレントレフリーの場合、そういった威圧的な場面がないのが特徴です。レフリーは受動的であり、選手の方はレフリーの動作に気づき、そのシグナルを読み解く必要があります。

このプロセスによって、命令ではなくコミュニケーションを取っているという感覚になるのかもしれない。そのため、サイレントレフリーによる試合は、レフリーやゲームそのものに協力するという気持ちが働くのかもしれない。そんなことを感じました。

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