アナリストセミナーは面白い!3 2025リーグワンアナリストによるオンラインセミナー

コラム70-3

「2025リーグワンアナリストによるオンラインセミナー」は最後のQ &Aへ。ラグビー強豪大学からの参加者もいるのだが、そのあたりからは手があがらない。あとで荻田さんに理由を聞くと、ライバル校も参加しているから、警戒をしているのかも、とのこと。その気持ちは分からないでもないが、もったいないなとも思う。

高校生からの質問。「高校にはビデオカメラ1台とエクセルしかないので、その映像から個人の数字を入れるなどしてきました。来年度から大学に入るのですが、環境は変わるのでしょうか」

荻田さん。「環境は大学によりますね。今と同じような環境かもしれない。その中でもできることを見つけるのが大事です」

柴谷から。「一般的にチームのレベルが上がると分析にかける予算は増えていきます。でも逆に減っていくものもあります。分析にさけるスタッフの数です。プロでは分析担当者は1人から多くても4人。その中で何とかやりくりをします。高校や大学の場合、選手に手伝ってもらうという方法がある。すると、プロよりもずっと多くの人数で分析をすることができる。例えば、試合に出ない選手たちに協力してもらって、試合中にタックル数や成功率を算出する。これは、見ている選手にとっても良い学びとなります。だから、使える機材が少ないのは悪いことばかりではないんです。工夫次第で何とでもなります」

続いて、私と同年代の方(仮にMさん)からの質問。「現在ラグビースクールで指導をしています。監督は元トップリーガー。私としては、小中学生にも数字を使って指導したいと思っていますが、どんな数字を取れば良いのでしょうか」

荻野さん。「小中学生相手であれば、やはり単純な数字が良いと思います。ターンオーバーの数、反則の数などは分かりやすいですね」

柴谷から補足。「荻田さんが映像を作る際に、最初にやることを真似すると良いと思います。何だったか覚えていますか?」

「曲を決める?」とMさん。「惜しい。その前です」「監督と話す?」「そうです。これをMさんもやるべきです。つまり、監督はどんなスタッツが必要だと思っているかを聞き出し、それを踏まえて数字を出すのが良いと思います」

セミナー終了の時間となる。アンケートへの協力をお願いして、皆様退出となった。荻田さんは、セミナー中、ものすごく落ち着いて見えていたが、終わると「質問への回答って難しいですね」と頭を抱えていたのが、意外だった。

翌日、参加者の皆さんにアンケートの入力フォームを送った。その際、「学びの定着となるので、記述式の質問にもできるだけ詳しく書いてください」と依頼。たくさんの詳細な回答が届いたが、その中でも最も詳しく書いて下さった方の文面の1部を紹介する。

「アナリストが実際にどのようなことをするのか全く分からない状態で受講しました、恥ずかしながらスタッツという言葉でさえ知りませんでしたが、どのようなデータを取っていくのかを聞いていているだけで気分が高揚しました。ブレイクダウンの参加回数、ボールキャリー率、タックル数など手短なところからやっていきたいと思っています。GPSをつけて、選手が一定の速度以上で走っているかをモニタリングしているというお話は、トップチームならではと感心していました。最終的に自分が感じたのはデータ分析云々よりもチームの選手のモチベーションに働きかけるというのが一番根源的であり、一番難しく一番のやりがいを感じられる部分だということ。チームスポーツにおいても正解のない永遠の課題だと思っています」

データ云々よりも・・・というところに私も強く同感。まずは手短なところからやってみるという積極性にも共感。「覚えたことは2週間以内にやってみることが大事。そうしないとずっとやらないことになる」。ビジネス定量分析というセミナーに私が参加していた際、講師の方が繰り返していた言葉だ。まずはやってみる。迷ったら、まだ誰かに聞いてみる。分析に限らず、その繰り返しが学びを深めてくれる。

皆様、またお会いしましょう!