2019年1月27日、ラグビー分析セミナー第1部を実施しました。日頃の分析作業を体系的に考える機会となりました。その一部をご紹介します。
(スライド1)
分析作業は「分ける」ことから始まります。そのための切り口を考え、数える。次に「比ベる」。比較対象は、敵チーム、リーグ平均、過去の試合など様々です。最後に「考える」。データは考えるための材料です。
(スライド2)
ラグビー分析において、ペナルティ、ディフェンス、アタックの順で難易度が上がると考えています。
ペナルティは「分ける」と「比べる」で解決するケースが多い。「スキル」や「戦術」よりも意識を変えるだけで、改善することが多い。したがって、初めて分析に着手する際には、ここから始めることをお勧めします。
次にディフェンス。どのチームにもディフェンスシステムがあり、分けたり、比べるのが容易です。試合ごとに変わることも少ない。
最も難しいのがアタック。アタックにもシステムやパターンはありますが、試合ごとに変わったり、選手によって変化する。あるいは、システムを逸脱した動きが好結果を生むこともある。
したがって、相手のアタック分析は、費用対効果が低いと考えています。
それよりも⑴自チームのペナルティを分析して反則を減らし、⑵自チームのディフェンス分析によってシステムエラーを減らす。さらに、⑶相手のディフェンスを分析し、効果的なアタックを考える。これがラグビーにおける分析作業の優先順位と考えています。
⑶に関してはゲーム中にも行う必要があります。そのためのフレームワークがこちら。
(スライド3)
フレームワークとは、骨組み、枠組みのこと。思考の土台です。横軸がディフェンスラインの幅、縦軸がDFのラインスピードとしました。
多くのチームが右上の「Goodラッシュ」を目指しますが、試合展開によって変化する。そこを見極めて、有効なアタックをゲーム中に選択できれば、ゲームを有利に進めることができます。
(セミナーでは、トップリーグ決勝戦、神戸対サントリーを題材に、この日のサントリーのDFが「Goodラッシュ」ではなく、「省エネDF」になっていたことを確認)
(スライド4)
これに対して、神戸のフラットなダイレクトプレーが有効でした。
他にも、幅広いDFラインに対しては、ピック&ゴー。ラッシュDFが機能しているならば、ショートサイドで崩す、などチームによって方法はそれぞれでしょう。
最後に。
分析は分けて、比べて、考えること。いずれも論理が必須です。しかし、忘れてはいけないことがあります。
それは、「ラグビーの魅力は、論理を超えたところにある」ということ。
分析は、あくまでラグビーの隠し味と考えています。