(コラム41)ちびっこラグビー、didiラグビー

本日より、自分史上最年少選手たちへの指導が始まった。

「ちびっこラグビー didiラグビー体験会」である。

didi (ディディ)ラグビーとは、イギリス発祥のラグビーボールを使った運動遊びプログラム。元イングランド代表ママが乳幼児の発達に合わせ、「安全性、楽しさ、積極性」をモットーに開発し、現在世界30拠点で展開。日本では一般社団法人RuFL(らっふる) = Rugby For Lifeが現地で研修を受け、アジアで初めてdidi rugbyを展開している。

この日の指導者は、実に豪華だ。現役女子日本代表の谷口琴美選手と加藤幸子(2人とも横河武蔵野アルテミスターズ所属)。RuFL代表で、元日本代表選手である杉本七海さんも駆けつけてくれた。

会場は、三鷹駅に程近い横河武蔵野グランド。今日の三鷹駅周辺は北風が強かった。駅前のタワーマンションが建っており、冷たいビル風がすごい勢いで吹いてくる。

そんな中、ちびっこたちは保育士さんたちに連れられ、元気にグランドにやってきた。

didiラグビーのプログラムでいつも感心するのは、そのネーミングだ。

たとえば「サメと卵」。ラグビーボールを卵にたとえ、コーチ扮するサメから卵を守るために子どもたちは逃げ回る。サメに捕まりそうになったら、協力して卵を受け渡す。

今日は新しく「郵便屋さん」というゲームをやった。ボールというお手紙を、郵便屋さんが仲間に届けるというもの。

「ボールを持って走ろう」と呼びかけるだけでも、子どもたちは喜ぶ。しかし、「サメからボールを守ろう」と言い換えると、子どもたちのテンションは、1段も2段も高まる。

「パスをしよう」から「郵便屋さんとして大切に届けよう」にすることで、練習に物語が加わる。子どもたちはこれに夢中になる。

練習に適切な名前をつけることは大切だ。練習の意図が瞬時に理解できて、覚えやすいものが良い。

エディー・ジョーンズ氏の1期目の日本代表ヘッドコーチ時代、後に金星を挙げる相手となる南アフリカ対策の練習を「Beat the Box」(南アフリカを負かす)と名づけたことは有名だ。

練習の意図がダイレクトに選手に伝わる上、これを毎日のように繰り返し口にすることで、チームの目標が堅固なものになっていった。

「サメと卵」もまた、「Beat the Box」と同様に優れたネーミングだと感じる。子どもたちは、この名前を聞くだけで練習を思い出すはずだ。

「郵便屋さん」も秀逸だ。大切にボールを仲間に渡そう、という気持ちにさせてくれる。

ちびっこラグビーを侮ってはいけない。郵便屋さんに成り切って、倒れるまで走り続ける子どもたちを見て、そう思った。

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