ラグビー経験者ゼロでも分析できます – 東京スポーツ&レクリエーション専門学校、ラグビー分析講義3回目

22年10月22日、東京すぽーつ&レクリエーション専門学校(TSR)にて、ラグビー分析講義3回目を実施してきました。参加者は、同校のスポーツアナリストコース在籍の1、2年生18名。

ただし、ラグビー経験者は0名なので、第1回目はタグラグビー体験をしてルールを覚えながら、ラグビー分析の基本をレクチャー

2回目は、トップイースト、東京ガス対セコムの試合を生観戦し、その後、各グループで分析をしてもらいました。

最終回のこの日は、分析結果のプレゼンテーション。

中身のある分析レポートを仕上げるのは難しいかな、と思っていたのですが、全然そんなことはありませんでした。

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(このグループは、得失点をグランド上に視覚化。サッカー分析のアイデアを取り入れてくれました。他競技の分析手法を借用するのは、現場でもありですね)

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(点差は1点だったが、勝利チームはペナルティゴールによる得点が多いことに注目し、反則を分析。最初に分析項目を絞った理由を伝えることは大事ですね。分析ソフト、ダートフィッシュを用いて、数値を算出してくれました)

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(こちらはラインアウトを分析してくれたグループ。多くのラグビーチームで使われている分析ソフト、スポーツコードを使って、データを算出すると同時に映像もピックアップしてくれました)

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(プレゼンテーション後に、他の学生や講師からの感想や意見を真剣に聞く。このグループは、キックやラインブレイク数に注目し、算出したのだけど、比較対象がなかった。相手チームの数も見せれば、比べることができた)

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(ラグビーチームでインターンをしており、知識のある学生もいました。与えられた情報だけでなく、自分から論文等の情報も引っ張ってきて発表に取り入れる姿勢は素晴らしい。将来の採用面接でも、こういうプレゼンテーションは効果的です)

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最後に私から総評。

「分析とは、まず①情報を分けることから、始まります。皆さん、よくできていました。ただし、②適切な比較対象を準備して、わかりやすく見せるところは、今後の課題。③一緒に考える、に関しては、学生から良い質問がたくさん出て、お互いに理解を深めていくことができていました」

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Rugby Opens Many Doors.

これは私がデフラグビーの活動の中で出会った言葉。

ラグビーは多くの扉を開く。(素晴らしい出会いをもたらしてくれる)

今回のラグビー分析の話が、未来のスポーツアナリストたちの仕事に役立ってくれるよう願います。また、ラグビーの世界に一人でも飛び込んでくれれば、嬉しいです。

(番外編1)

今回のプレゼンテーションのテーマは、この試合の勝利チームの強みと弱みを、コーチ陣に伝えるというもの。また、プレゼン方法に関して、私がリクエストしたのは以下の3点。

・5分以内(分析項目を絞る)

・ただの感想ではなく、データをもとに考える

・映像は使わなくても良いが、見せられるように準備する

多くのグループが、分析対象をデータで説明。最後に映像という順番でした。データで興味を惹きつけて、映像で証拠を示す。これは正攻法ですね。

データが多く続き、映像が出てこない、というグループもあったので、それはあまり良くないという理由を「おつまみとビール」に例えて説明。

データがつまみで、映像がビール、です。

コーチとのミーティングでは、戦略や戦術を正しい方向へと導くのがアナリストの役目。しかし、データばかりでは、コーチは理解しづらく、イライラしてしまう。

辛いおつまみばかりを出されているようなもの。早く喉を潤したい。美味しいデータを少し出したら、すぐにそれを裏付ける映像を続ける。これなら誰でも理解しやすく、前向きに議論したくなる。

逆にビールがなかなか出てこないと、イライラしてつまみであるデータにも文句をつけたくなってしまう。

聞く人の気持ちに寄り添い、美味しいつまみと、ぴったりの飲み物をタイミングよく提供する。さらに、会話が盛り上がるような配慮もする。

アナリストというのは、バーテンダーのような役割なのかもしれませんね。

(番外編2)

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突然、モニターが映らなくなってしまいました。こういう危機をうまく乗り越えるのも仕事。適当に話を続けながら、一つひとつ原因を検証していきます。この時は、学生の一人が、「昨日あった面白い話」を披露してくれました。感謝。

#ラグビー分析 #東京スポーツ&リクリエーション専門学校

講義1回目⇒分析講座だけど体育館集合

講義2回目⇒「これってルールが分かったら、ものすごく面白いスポーツじゃない?」

他の講演活動についてはこちら

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